2024年7月にcolobockleは10周年を迎えました。
生後3か月だった次男を抱いて開業届を出したのが2014年7月1日。「宝物を撮影する」という意味の造語「TRESHOO」という名前でスタートし、5年前に娘を出産したあと「colobockle」に変更しました。
開業したいきさつは、以前「お母さんと仕事」につづったことがありましたが、この10年間をちょっと振り返ってみたいと思います。
はじまりは家族写真から
こちらはちょうど10年前に撮影させてもらった家族写真。今よりもドキュメンタリータッチでした。
こちらも10年前に撮らせてもらった写真。ソフトフォーカスを気に入っていたころです。
こちらも10年前に撮影した写真。
2人兄弟に女の子が加わり、成長し、小学校に入り…と何度も撮らせていただき、先日7歳の七五三を迎えました。家族が重ねて行く時間に伴走しながら撮らせていただける嬉しさは、言葉で言い表せません。
所持機材や撮り方は変わりつつも、子どもの命のみずみずしさだったり、親子の関わりや絆だったりといった「撮りたいもの」は当初から変わっていないと思います。
楽しかったフォトレッスン
撮影と同時に当初より開催していたのがフォトレッスンでした。
コロナ禍になって中断するまで毎月開催していて、たくさんの方に子連れでお越しいただきました。
こちらはフォトレッスン中に生徒さんが撮ってくれた写真。
フォトレッスンには就園前や長期休み中の私の子どもも同席していて、モデルになったり皆さんに遊んでもらったりしていました。
子育て中のママ同士、色々なお話をして、一緒にカメラの研究をして、楽しかったですね。
抱っこ紐とおんぶ紐づくり
一緒に研究したといえば、抱っこ紐もそうです。
3人目の子どもを出産したのを機に、市販されている抱っこ紐を持ち寄って交流会をするようになりました。助産院で開催したり、スタジオで開催したり。
抱っこ紐交流会で親しくなってその後友達付き合いの始まったママさんたちもいたそうで、いつも話の尽きない楽しい会になりました。
交流会のなかから「こんな抱っこ紐があったらいいな」というアイデアがうまれ、colobockleオリジナルの抱っこ紐mico(ミーコ)が誕生しました。商品は2020年の横浜ビジネスグランプリで女性起業家賞も受賞しました。
抱っこ紐を購入くださった方のなかには、その後発売したおんぶ紐nicoもご購入くださる方もいて、抱っことおんぶ、そして成長するごとに写真撮影をと、子どもの成長を一緒に楽しませていただいてきました。(当時はなかった伸縮性のある抱っこ紐が、その後複数のメーカーから販売されるようになったためmicoの販売は終了しました)
胸が震えた出産立ち合い撮影
カメラマンとしては、いつも「どうしたらもっといい写真を撮れるんだろう」と試行錯誤していました。その過程で、鎌倉にあったPrivate photo stusio HOMEのフォトグラファーをしていた時期もありましたし、色々な研修会、講習会に足を運びました。
ご紹介が重なり、面白いイベントや企業の重役さんの撮影まで、様々な場面にカメラを持って出向ける機会が増えました。でも様々な撮影のなかでももっともドラマチックだったのは、やっぱり出産の立ち合い撮影かな、と思います。
いまは対応が難しくお受けしていませんが、出産の撮影はどれも深く記憶に残っています。
赤ちゃんが生まれた瞬間、それまでじっとママのそばにいた2歳の男の子があーんあーんと大声で泣き出したこともあったし、10歳のお兄ちゃんが黙ったままぼろぼろと涙をこぼしたこともありました。
いつか「幸せを願われてこの世に誕生したこと」を写真から感じ、生きる力を得られますようにと思いながらシャッターを切っていました。
10年間で撮ったご家族は2000組以上。新生児はちゃんと数えなおしていないけど400人以上にはなりました。ゼロから始めたにも関わらず、たくさんのご家族の輝きを撮影することができました。
コロナ休業、ころっぱの開催
スタートしたフォトグラファー養成講座に8人の生徒さんが通ってくれていて、毎月開催していた「赤ちゃんとママの撮影会」も順調、「そろそろどこか外にスタジオを作ろうかな」なんて思うようになっていた矢先、突如コロナの波がやってきました。
学校と幼稚園が休みになってしまい私は休業することに。1歳の娘は保育園を退園しました。時間が空いた代わりに、外遊びが思うようにできない子どもたちを自然のなかに連れ出そうと、親と子の自然遊びの場として「ころっぱ」を開催しました。
ころっぱはコロナ禍の間、1年ちょっと続けました。
ころっぱをやりながら私は、これからの仕事をどうしていくか迷い始めました。きっかけは長男が親離れしたことです。
私がカメラマンとして仕事をするエネルギー源は、子どもたちの成長を遮りたくないという気持ちでした。時間に追われず、じっくりと興味に向き合える環境を与えて、その様子を見ていたい。子どもたちの輝きが、私にどんな困難や疲労も乗り越えていけるエネルギーを与えてくれました。
私のカメラは毎日ふたりの子どもを撮り続け、
そのうちそれは3人に増え、
そして長男の姿が消え、それから少し遅れて次男の姿が消えました。母親としての役割は「一緒にいること」が最優先ではなくなりました。子どもが私から離れるとともに、私の興味関心も、身近なところから社会へと戻っていきました。
もともと企業関連の編集者をしていこともあり、昨年2023年4月に再就職して以来、いくつかの企業との契約を経て、現在はインナーコミュニケーション専門の編集者としての活動に注力しています。々な企業が生まれては成長していく様子は、子どもが生まれて育って行くのと似ているな、と感じています。
これからのcolobockle
私の手元には本当に素晴らしい、命の輝きをおさめた写真がたくさんあるので、「10年を節目に写真展を開いてみなさんに見て欲しいな」なんて思いましたが、編集の仕事と、4つも掛け持ちしてしまっている役員業で忙しく、ただ日々が流れるままに10周年を迎えました。
毎週、新生児ニューボーンフォトのご依頼は途切れることなくいただいていますし、お子さんの成長に合わせ繰り返しご依頼くださるご家族もいて、家族写真の撮影は私にとって生きている限りやっていたいと思えるライフワークになっています。
あと10年経つ頃には私は50代半ばになるのかあ…そのころはどんなふうに生きているのかな。できたら編集者として自立しつつも、子育てを頑張るママを写真で励ませていたらいいな。
コロナ休業前は生まれた命が幸せに育つことを願い、売り上げから「国境なき医師団」と「未来の森」に寄付していましたが、できれば今後は海洋プラゴミ対策など環境活動を行う企業、団体を応援したいです。
私のお客さまはみなさん頑張り屋さんで、ある3人ママは、子どもが入園前に利用していた支援施設でそのままスタッフになりつつ通信で保育士資格をとり、幼稚園の預かり保育のパートを経て正規職員になりました。またあるママは3人の子どもを連れて海外留学へ。パート医師で頑張っていた女性は院長になりました。仕事と育児の両立に悩んで大好きだった学校の先生をやめてしまったママもいますが、子どもの成長とともに環境は変わっていきますから、焦らず時期を見て、自分自身の目標を見出して再び挑戦して欲しいな、と思います。
たくさんの出会いとご縁に恵まれた10年間。この仕事をやるまえと始めた後では世界がずいぶん変わりました。colobockleを応援してくださり、期待してくださったみなさんに、心から感謝です。
そして傍で見ていてくれた子どもたちと家族にも感謝をして、これからもひとつひとつの仕事に丁寧に向き合っていきたいと思います。